ヒカリの学習ノート

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財政赤字とクラウディングアウト-MMTを知る前に-前編

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いつもヒカリの学習ノートを読んでくれてありがとう。

今日は「財政赤字とクラウディングアウト-MMTを知る前に-」と題して、前後編に渡って政府の財政出動の仕組みについて話して行こうと思う。

分かりやすいようにタイムリーな話題から引っ張ってくるのなら、2020年から日本でも猛威を振るっている新型コロナウイルス感染拡大に対応するための「緊急経済対策」を例に上げることが出来るだろう。

一律10万円の支給を実現するために、先ずは財源を確保しなければいけなかったんだけど、それは2020年度の補正予算案の組み替えと赤字国債の発行によって賄われたんだ。ニュース記事を調べてみると、なんとなくネガティブな印象が伝わってきたと思う。

「国債発行ってことは政府がまた借金をするのか?これは大変だっ、もっと財布の紐を締めないと。よし、今こそ緊縮財政だ!」

などと考えていた人がいないことを切に願う。デフレに加えてコロナショックで経済が打撃を受けている最中で緊縮なんて正気の沙汰ではないよ。

でもね、一昔前までは(いや、たぶん今も)エコノミストでさえ本気で政府の国債発行に伴う財政赤字が個人や企業を苦しめると考えていたんだ。

これは、お金をモノ(金のような有限の資源)だと考えている人たちにありがちな誤解と言えるだろう。つまり、政府が大量の国債(お金を借りるための借用証書)を発行することで借金をすると、どこかにきっと存在するお金のプール(日銀当座預金のことだろう)から資金が吸い上げられてしまい、スッカスカになってしまう。目減りすることによって金利が上昇(物が減れば価値が上がるだろう?それと一緒だ)、民間企業がお金を借りることが難しくなるから、企業は設備投資も満足にできなくなってしまい、経済発展の妨げになってしまう。もしかしたら景気の悪化が原因で解雇なんてことにもなり兼ねない。だからとにかくこの財政赤字を解消しないと取り返しのつかないことになってしまうぞ。ならば今こそ緊縮だ!

という理屈だ。そのことを「クラウディングアウト」なんて名付けている。

これについて理論立てて説明したものがマンデル・フレミングの法則(1963年発表)だ。財政政策を中心に進めてしまうと、国債発行のために多額の資金を使ってしまうため、マネ―ストック(社会のお金)が減少してしまう。これによって金利が上昇し、結果的に国債の利回り(長期金利)も上昇してしまうから、設備投資が減少してしまう(先に説明したクラウディングアウト効果がここで生じてしまう)と主張されている。そうならないためにも金融緩和中心で政策を進める(お金のプールを増やす)ことが重要なのだ、と。

でもね、国債の利回りって物価上昇率(インフレ率)と密接に関係しているんだよ。だからデフレ下で金利が上昇するなんてことは考えられない。

因みに、長期金利(10年物国債の利回り)は「期待インフレ率+潜在成長率」で決まるとされているよ。

だいたい、日銀はこの長引くデフレを脱却すべく、年間80兆円もの国債を市中銀行から買い上げているのだし、銀行も多額の資金を国債で運用しているんだ。これによって国債価格は上昇して、金利は下がる一方なのが実情だ。デフレなので、新たに発行国債の利回りも低いまま維持されて行く。既に金融緩和を行っているようなものだと言えるだろう。そもそも、金融緩和をする以前から国債金利が減少し続けていたのだし、国債を私たちの預金から購入しているなどという事実もどこにもない。

もちろん、財政出動の結果、見事インフレ率が上昇して金利が上がることは十分考えられるよ。そして政策金利が上がれば円高にもなるだろう。でも、今はまだその段階まできていないんだ。

繰り返しになるけど、お金のプールなんてものは存在しない。いや、正確には日銀当座預金というプールらしきものは存在するんだけど、国債を発行したからといって目減りすることはない(あとから戻ってくる)。

何度も言うけど国債は国民の銀行預金から購入しているわけではないからね、国民が損をすることなんてないんだ(日銀当座預金は日銀が市中銀行に対して割り当てたものだ)。

ここまで聞いていて「金利って何だ?」って思っている人のために付け加えておこう。

「金利」っていうのはお金の付加価値のことだ。よく「お金の便利さを一定期間手放すことへの対価」と説明されている。その対価である利子が下がっているということは、つまり、お金に対する需要が少ない、お金を借りたいと考えている人が少ないってことなんだ。

どうしてお金を借りたくないんだろう? それはデフレだからだよ。デフレ期に借金をして設備投資をしても儲からないよね。それどころか、借入した時よりも更に利率が下がる恐れもある。これではいくら金利が低いと言っても借りたくなくなるよね。逆に貸す側である銀行の立場で考えてみようか。仮に今1%でお金を貸したとする。でもこの先金利が2%に上昇してしまったら、1%分損をしてしまう筈だよね?それなのに敢えて低金利で貸し付けているんだ。つまり、今後もデフレが続くだろうという予想を立てているからなんだ。

こうなってしまうと、益々不景気な状況から抜け出すことが困難になる。政府が率先して需要を生み出していかなければならないと言われている理由はそこにあるんだ。景気を刺激する対策を行わない限りは悪化の一途を辿るだけなんだから当然だよね。

次回は更に踏み込んで、財政出動に対する疑問や反論を例に出しながら、国債発行による借金の本質について語って行くことにする。結構ややこしい話になってくるかも知れない。どうしても混乱してしまうようだったら、その後にMMTについて分かり易く説明した記事を出す予定なので、それを読んだあとに改めてこのテーマの前後編に目を通してみて欲しい。

今日も読んでくれてありがとう。続きはまた、後編の記事で。