ヒカリの学習ノート

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一般歳出と国債費について

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ヒカリの学習ノートにようこそ。

 

ここまで3回に渡って財政赤字とクラウディングアウトといったMMTを取り巻く諸問題や疑問を抱かれている点について説明してきたんだけど、今回は財務省の資料を見ながら不明点をまとめることにしたよ。

 

以前の記事をまだ読んでいないという人は、ここで説明する内容に目を通した後でも構わないから、一度確認してみて欲しい。

 

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*出典 財務省HP「これからの日本のために財政を考える」(https://www.mof.go.jp/zaisei/current-situation/index.html)より

 

では、早速本題に入ろうか。

毎年、国の予算はだいたい100兆円程度が一般会計から歳出されていて、そこから社会保障費や地方交付税交付金等の国民生活に必要な予算が割り当てられている。2020年度の歳出は102.7兆円だったことが見て取れるだろう。このうち、22.7%を占めるのが、政府の借金と噂されている国債費の23.4兆円だ。この中に利払いや期限の到来した国債の償還費用が含まれているよ。

 

この資料を見た時に“一般会計歳出の約1/4が国債費で、そこに含まれる償還費用や利払いが税金によって賄われているのか”と考える人がいるかも知れない。やはり過去のツケが自分達に、そして将来へと引き継がれてしまうのか…と。これはよくある誤解だから仕方がないだろう。

 

では、次の資料を見て欲しい。

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二つのグラフを見比べてみて、何か気付くことはあるだろうか。

 

税収がおよそ70兆円だから102.7兆円の予算を一般会計から歳出には32兆円は不足していることが分かるよね。

これについては見ての通り、公債費として32.6兆円が新たに予算に組み込まれているよ。そこから国債の利払いや償還費用(借り換え)が賄われているんだ。

 

だからどうしたのかって? ここまで話せばもう分かるよね。要するに、新たに国債を発行することで、将来のツケとされている国債の利払いや償還費用を賄っているということなんだよ。これに関しては過去の記事でも60年償還ルールの話で触れていたと思うけど、俗に「借金」と呼ばれている国債は、償還期限が到来したものから順次借り換えを行うことで「返済」されているんだ。つまり、新たな国債を発行することでちゃんと“借金を返している”んだよ。だから「返さなくても良い借金」という表現が誤解を招いてしまっている。

付け加えると、国債を税金で返済してしまうと、その分だけマネ―ストックが消滅してしまうので、経済を回して行く上で不都合が生じてしまうんだ。だから、税金で返したくても実現することが難しいという理由がある。

 

「私たちの税金から強制的に支払わされているわけではないことは分かった。だったら私たちから税金なんか取らないで、新たな国債をジャブジャブ発行して予算を賄ってしまえばいいじゃないか!税金なんてはなからいらないだろう!!」

という疑問は必ず湧いて来るだろうね。あちこちで、いろんな人が何度説明しても毎回、必ず同じ疑問をぶつけられているのを目にするよ。筆者も過去に説明していると思うし、この先も繰り返し言い続けることになると思うんだけど、念のためここでも説明しておくよ。

 

財源が税金から賄われているわけではないのは事実なんだけど、税金には他に大切な役割があるからどうしても無くすことができないんだ。

 

一つは、富の偏在を抑制すること。これは累進課税によって行われている。所得の差異を問わず一律の税額だったら高所得者以外は生活できなくなってしまうからね。

二つ目は、インフレ率の調整だ。好景気には政策金利を上げる方法もあるけど、それと同時に税金として吸い上げることで、加熱した景気を抑える役割がある。このことからも、デフレ期での消費増税が逆効果であることが分かるだろう。消費を後押ししたいのに消費に対するペナルティを課すというのはおかしな話だ。

三つ目は、恐らくこれが最も重要な税金の役割だろう。私たちが日本円を使う根拠とすること。国内通貨としての価値を裏付ける効果だ。どういうことかというと、私たちがどこのお店に行っても支払いで必ず円を使っているのは、「円」でしか税金が納められないからだよ。国内でみんなバラバラの通貨を使われたら困るよね。政府としては自国通貨を普及させたい。そのために、日本で生活する全ての人に円による納税を義務付けているんだ。私たちが円を使用しているのは、円の信用を買っているからではなく、円でしか取り引きできないから仕方なく使っているだけだよ。

 

某有名政治塾が理想に掲げていたような無税国家を実現したいのであれば、MMTの問題以前に先に挙げた3つの役割を全て放棄してから実現して下さいと言う他ないよ。

 

バブル崩壊以降、伸び悩む税収の不足分を国債発行で埋めて来たと言われているけど、デフレで消費が落ち込んでいれば税収だって落ち込むだろう。どうしても税収を上げたいのであれば富裕税でも導入して取れるところから取ってみても良いだろうけど、それをしたところで結局は国家予算として市場に放出されることになるのだから同じことだろう。

市場というシンクから国のタンクに吸い上げられた水が、再び実体経済に戻ってきているだけなんだからね。

市場であるシンクの中には国民の現金や預貯金が1600兆円ほど流れていて、そこから出たパイプの中を流れるのがGDPおよそ550兆円ほど。もう一方のパイプ内を金融経済の750兆円ほどが毎年流れている。

私たちが生活している世の中のお金の流れを簡略化するとそんなところだろうか。

 

「自分は今の生活に満足しているからこれ以上の経済成長なんて望んでいない」と言っている人を見るんだけど、どうしてマクロ経済の問題から個人の生活レベルの話にすり替えられるのかという疑問はこの際無視するとして、日本という国においては経済成長しなくても良いという話は有り得ないんだ。近隣諸国との関係を考えれば分かるだろう。GDPと財政規模はほぼ相関しているんだよ。つまりGDPが増えなければ財政的余裕もなくなってしまうから、軍事費の確保も難しくなってしまう。隣国の経済成長に合わせて日本も成長していかなければならないんだ。

「だったらどこかの予算を削れ!」という定番の文句が思い付いた人はさっきのシンクの話に戻ってみて欲しい。実体経済を流れる資金が変わらず、デフレのままで設備投資もされず、技術革新も経済成長もなく、ただ少ない牌をどこかから奪って分け与えるだけで解決できるような問題ではない。そもそもの話、資源(と労働力がその国の通貨の価値を裏付けている)の乏しい日本において、設備投資や技術革新を抑制するなんて愚かな話だ。

 

今回は一般歳出と国債費の疑問についてまとめてみたよ。良く分からない人は他の記事も参考にしてもらえると有り難い。

 

それでは、また次の記事で会おう。