ヒカリの学習ノート

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紙幣と硬貨が無くなる未来 新しい決済手段 デジタル通貨の行方

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今日のテーマは中央銀行デジタル通貨、CBDCだ。法定通貨のデジタル化については筆者も過去の記事で少しだけ触れたことがあるね。それだけ現在では期待が持たれている分野なんだ。未来のテクノロジーを語る上では避けられないテーマだから「お金」の知識に限定されるものではない。全ての人が知っておくべき未来像の一つなので、多くの人に知っておいて欲しい。

 

CBDCとはCentral Bank Digital Currency の略で、その名の通り中央銀行が発行するデジタル法定通貨だ。発行元が中央銀行ということは米国であればFRB、日本であればBOJ、つまり日銀ということになるね。私製通貨である電子マネーとは性質が異なることがこの時点で分かるはずだ。

 

現在、デジタル化にもっとも近づいている法定通貨が人民元だ。各国の中央銀行がそれに対抗して研究、開発を急いでいる。やや出遅れ気味ではあるんだけど、日本も例外ではない。

 

デジタル通貨を巡っては、様々な憶測と期待が入り混じっていて、ビジネス系インフルエンサーや経済評論家、技術者らがそれぞれの立場から未来予想を発信している。そのため情報過多となり、何が実現可能で何が不可能なのかいまひとつ分かっていない人も多いと思うんだ。

 

ここではCBDCが秘めている可能性について示した上で、一般的に語られている理想像と現実的な課題についてまとめてみることにする。

 

 

完全デジタル化で現行の紙幣と硬貨は消えるのか?

 

一部で囁かれているのがCBDCの登場で2024年の新紙幣切替えを待たずに従来の紙幣や硬貨が無くなってしまうのではないかという話なんだけど、これについては杞憂といって差し支えない。もしかしたら新紙幣がデジタル化されるのではないかという噂も出ているんだけど、これも有り得ないことだよ。それは、各国の進捗状況と比較してみると分かりやすい。66行を対象に調査した結果では、法定通貨のデジタル化は早くても3年以内で10%、6年かけても20%に留まるとされている。カンボジアやバハマの中央銀行を除けば、導入がもっとも早いとされるのは中国人民銀行が発行するデジタル人民元ぐらいだろう。偽造の多さからか、人民元を所有することを警戒する中国人は多く、電子マネー(私製通貨)の利用率が世界的にも高い理由とされている。投機や資金洗浄を目的とした仮想通貨への参入者も多く、ビットコインの採掘量の7割を占めていた。2021年になってから中国政府がマイニングを全面禁止としたのにも、デジタル人民元との競合を避ける意図がある。通貨のデジタル化に寄せる政府の想いの強さが分かる一例と言えるだろう。

 

デジタル人民元は2014に計画が開始されたんだけど、そこから僅か7年で人口の1.5%がウォレットを保有するに至っている。中国政府が如何に急ピッチで開発を進めてきたか分かるよね。一方で米ドルや日本円のような信用度の高い通貨の場合は導入に際してより慎重さが求められているせいか、運用開始までの道のりは遠いという意見もある。しかし、昨今の急速なテクノロジーの発展やデジタル庁の創設という実情を鑑みれば、日銀が世界に後れを取り続けるとは考えにくい。6年以内に20%という諸外国の基準を目途に開発を進めて行く可能性があると筆者は考えている。ゆるやかなペースではあるが、着実に法定通貨のデジタル化は進められていくことだろう。

 

変化する未来 デジタル通貨がもたらす恩恵

 

実際にCBDCが運用開始となったときにどのような恩恵がもたらされるのだろうか。私たちの日常生活の変化を予想しながら、いくつかの未来像を挙げてみよう。

 

詐欺被害者の救済

過去の記事でも軽く触れているんだけど、詐欺被害者のお金を容易に取り戻せるようになるよ。デジタル通貨は取引履歴がしっかりと記録されるから、糸をたぐりよせるようにして資金の流れを把握することができる。仮に地下経済に流れ着いてしまったとしても、あとから強制的にロールバックすることも可能だ。詐欺被害者の泣き寝入りが無くなるだけでなく、反社会的組織への資金流出を防ぐこともできる。このことは同時に、税金を強制的に回収可能にすることを意味する。将来、現金が100%デジタル化されてしまったら、今までのようにタンス預金で隠すこともできなくなるだろう。貴金属等の動産や暗号通貨として価値の保存を試みる人も出て来るだろうけど、大量の紙幣を貯め込む高齢者の問題は解消する。また、長期間貯め込んでいる富裕層に対しては、デジタル通貨版の凍結口座法が適用される可能性もある。所有者が死亡した場合に国庫に繰り入れることが従来よりも容易になるだろうし、使用実績の少ないCBDCに対しては直接マイナス金利を課して消費を促すこともできると言う見解もある。後者に関しては、二層構造モデル(日銀と市中銀行で役割を分けている)を覆してしまうため、筆者は現実的な話ではないと考えているが、前者の凍結口座法の改正は可能だろう。

 

格差是正が容易になる

AIが多くの労働を代替する未来では、より多くの失業者を生む可能性が示唆されている。一部で人工知能を使う新たな職業も生まれて来ることは間違いないのだろうが、かつてのパソコンスキルのような容易に習得できる技術とは言い難い。また、AIを導入できる資本家と労働者との間では、資金力に大きな隔たりがある。そこで更なる格差が広がるだろう。どんなにAIが供給力をつけても需要がなければ豊かさは実現しない。隅々にまでお金が流れないということは、人体に例えると血行の悪い不健康な身体と同じだ。AI導入がもたらす副作用、不景気を解消する政策が求められるだろう。ここでテクノロジーの進化が経済へと繋がってくる。CBDCが普及していれば国民への通貨供給も容易だ、このタイミングでベーシックインカムを導入することになるだろう。また、給付金の支給で煩雑な手続きが不要になる利点も大きい。その一方で、災害時のシステムトラブルという課題を抱えていることも確かだ。法定通貨のデジタル化で最も難題とされているのが、ハッキングに耐え得るセキュリティーの維持と物理的な堅牢さの実現だ。財政、経済を基準とした法整備と技術的課題をクリアしなければいけない。幸い、日本に先駆けて諸外国が運用を開始してくれるので、モデルケースとして参考にさせてもらえば良いだろう。

 

CBDCがもたらすその他の利点と課題

その他の利点については直接全ての国民に関係するものではないかも知れないけど、せっかくなのでいくつか挙げてみようと思う。筆者も半信半疑だったんだけど、クロスボーダー決済(国際送金)時の手数料が無料になる可能性が期待されている。とはいえ、解決すべき課題がいくつかあるんだ。先ず法的な問題として、国際送金を無免許の個人が行うことは銀行法違反になる。技術的な問題としては、そもそもCBDCにはクロスボーダー決済の機能は実装されていないし、実装することを想定していない。技術的な実現可能性は別としても、各国で法制度も異なるし、何よりデジタル法定通貨という絶対に崩されてはいけないシステムの開発には時間がかかる。現状、もっとも安全かつ現実的な取引手段としては、クロスボーダー決済の機能を備えたXRP(リップル)を仲介する総金手段の採用だろう。

 

一応付け加えておくと、2019年の時点でカナダとシンガポールの中央銀行が、2つの異なるブロックチェーンをリンクさせることで仲介業者を挟まないクロスボーダー決済を成功させているから、技術的に絶対に不可能ではないことが分かる。ただそれを、日銀が採用するかどうかは別問題だ。もしも各国の中央銀行で国際基準を設けることになれば、その規格に従ってブロックチェーンを接続すれば良いだけなので、必ずしもリップルのような第三者機関を仲介させる必要はないのかも知れない。とはいえ、銀行の二層構造モデル(通貨発行と供給の役割を中銀と民間銀行で分けている)を崩すことになるという指摘もあるし、国際基準さえ整えればXRPのような媒介資産をわざわざ経由する必要性がなくなるという反論もある。こうなってくると泥沼の争いに発展するので詳しくは触れないようにする。いずれにしても暗号技術分野の領域になるので、今は見守る他ない。

 

量子コンピューターがブロックチェーンを破壊する(暗号を解読してしまう)のではないかという懸念も持たれているんだけど、これに関しては量子コンピューターを使った対策が取られることになる。いたちごっこそのものだけど、そもそもセキュリティーとはそういうものだ。ハッカー対策としてより優れたハッカーを採用するように、量子コンピューター対策に量子コンピューターを使うようになる。これもまた、人からモノへと仕事が代替されるケースの一つと言える。

 

他にも、デジタル通貨の登場で基軸通貨が交代するのではないかという話もある。これに関しては現時点では何とも言えないんだけど、宇宙時代には世界共通通貨として「世界統一デジタル通貨」も必要になるだろうと筆者は考えている。一応、衛星を介して地球から宇宙へと暗号通貨を送ることも可能になると言われているけど、BTC(ビットコイン)のような変動の激しい通貨がステーブルコイン(仮想通貨の基軸通貨)になるとも考え難い。そうなると、やはり世界共通通貨は仮想通貨ではなくCBDCになるのだろうか。そうなってくると、送金技術と同時に統一デジタル通貨の開発も進められることになるだろう。デジタル人民元をそのポジションに位置付ける狙いで開発を急でいるという話もある。将来どうなるかは分からないが、成り行きを見守りたいところだ。

 

ユニバーサルアクセス問題

運用面では、高齢者のようにスマホを使いこなせない人たちへのデジタル通貨の普及が問題視されているけど、既に交通系ICカードは使われているから、スマートカードの利用で対応できるだろう。いずれ体内デバイスの埋め込みで決済するようになる時代がくれば、煩わしい操作からも解放されるはずだ。

 

銀行業の淘汰と仮想通貨需要

フィンテックの台頭やブロックチェーン技術による第三者機関を介さない取引の実現によって銀行業が脅威にさらされる可能性も示唆されているが、これについては先に話した二層構造モデルの維持が守られれば廃業は免れるだろう。しかしながら、AIの発展により窓口業務や融資の審査で人間を必要としなくなる時代は近い将来訪れるので、昔のような一生安泰の職業ではなくなることは間違いない。これは他の職業にも言えることなので、銀行員に限った話ではない。あと、仮想通貨の需要増大に関しては、国による監視を逃れる目的で資産を逃がす富裕層が一時的に増えることはあるかも知れない。

 

新たな価値の創出

ブロックチェーンの普及からNFT(Non Fungible Token)の認知度も高まり、新たな価値が生み出されることになる。これまでの高級腕時計や貴金属のようなアナログな資産だけではなく、デジタルな資産が富裕層の間で取引されることになるだろう。既にデジタルアート作品がオークションで75億円という莫大な価格で落札されている。従来であればデジタル媒体は複製可能であったため価値が付き難かったんだけど、ブロックチェーンの発展でデジタル証明書を発行し、唯一無二の価値がそこにあることが証明できるようになった。複製不能な番号をデジタル資産に付与すると言えば分かりやすいと思う。これは、トレーディングカードの発行にも利用される。取り敢えず、世界に一つしかない、その人しか持てない希少価値を、NFTが可能にしたと考えておけば良いだろう。NFTを支えるブロックチェーンとしてイーサリアム(ETH)が使われている。取引に使われる暗号通貨としてETHが今後も価値を維持し続けるのか分からないが、ビットコインとまではいかなくても、リップルと同様にシステムを支える暗号資産として生き続ける可能性が高いのではないかと筆者は考えている。

 

いずれにしても、アナログ資産からデジタル資産への分散を試みる富裕層が増加していくことは確かだろう。税務署のAI導入が話題となっているが、デジタル時代を迎えるに当たって決して早過ぎる変化ではない。

 

今日は、新しい決済手段としてCBDC、デジタル通貨を紹介した。途中、関連する技術の在り方として暗号通貨の話題から価値のデジタル化まで幅広いテーマに触れてみたのだけど、どうだっただろうか。めまぐるしく変化するデジタル時代の現状を伝えることができたなら幸いだ。

 

これからも変化に付いて行けるように、最新情報を伝えて行けるように努めたいと思う。

 

それではまた、次回の記事で。