ヒカリの学習ノート

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「お金」が好きなら先ずは知ることからはじめよう!経済からお金の雑学、テクノロジーの動向まで、このブログを読めば一気に学ぶことができるよ。

仮想通貨とブロックチェーン ~ビットコインを例に解説~

前回に引き続き仮想通貨(暗号資産)について話していくつもりだ。タイトルにもある通り、今日は仮想通貨を支える仕組みであるブロックチェーンについて言及して行く。

 

最近はテクノロジー関連の話題を中心に扱っていたから、その視点を軸として経済や通貨に関連する話をしてみようと思う。ここでは知識ゼロの状態でも読み進められて、なんとなくでも良いから今話題の用語が理解できるようになることを目的にまとめてみた。深く学ぶつもりはないけどニュースが理解できる程度には単語の意味を知っておきたいという人には打って付けの記事だと思う。

 

それではさっそく順番に見て行こう。

 

 

 

ビットコインブロックチェーン(Blockchain)

ブロックチェーン(Blockchain) ≠ 仮想通貨(暗号資産)

よく混同されるのがこの二つの単語の意味だ。これだけは最初に記憶しておいて欲しいんだけど、ビットコインという仮想通貨(暗号資産)を維持するのに必要な技術(仕組み)がブロックチェーンなのであって、両者はイコール(=)の関係ではない。

 

例えば、今では生活に欠かすことのできないネットショッピングだけど、これはインターネット上に存在している。お馴染みのECサイトであるAmazon楽天はインターネットという仕組みを利用して成立しているサービスなのであって、ECサイトとインターネットはイコール(=)の存在ではないよね?ビットコインにも同じことが言えるんだ。

 

インターネットの例と同様に、ブロックチェーンの技術もビットコインなどの仮想通貨以外で利用する研究が進められている。例えば配送管理サービスなんかがそうだ。このあとに説明するけど、一つのサーバーに依存することなく複数人で取引履歴を記帳・管理するブロックチェーンの仕組みは、強固なセキュリティから機密性の高い情報を管理するのに適した技術だと考えられていて、現時点でもトヨタなどの大手企業も活用を試みているんだ。

 

いつ、誰が開発した技術なのか?

今や大企業からも注目され、様々なユースケースが想定されているブロックチェーンなんだけど、この単語をメディアが頻繁に取り上げるようになったのはここ数年のことなんだ。

では、いつから存在していたんだろう。

 

切っ掛けは2008年にサトシナカモトと名乗る人物がビットコインに関する論文を発表したことに始まる。暗号技術関連のメーリングリストに投稿したその論文の中で、従来の通貨管理システムを覆すまったく新しい通貨、ビットコインを紹介したんだ。これまでは中央集権的な管理のもとで発行・管理されることが当たり前であった通貨を、国家から独立した個人がブロックチェーン上で分散して管理する技術の提案は衝撃的だった。翌2009年には論文をもとにブロックチェーンが構築され、同年1月4日に運用が開始され、最初のビットコインが送られたんた。記録された280バイト、1回分の取引履歴はブロックの中にしっかりと残っているよ。

 

さて、開発者であるサトシナカモトについては長らく謎の人物とされていて、日本人なのかどうかも分からなかったんだけど、一説によるとファイル共有ソフトWinnyウィニー)を開発したプログラマー金子勇氏ではないかとささやかれている。理由はサトシナカモトが保有しているはずの100万ビットコインが今なお動かされていおらず、メジャーな仮想通貨となっても未だ誰も名乗り出ないことから、無くなっている金子氏なのではないかと言われているんだけど、これは予想の範疇を出ない。

 

筆者としては、サトシナカモトほどの天才であれば(今から十数年先になるかは分からないが)将来1ビットコインあたり3~4千万円の価値がつくことを確信していて、敢えて名乗り出ることもせず保有コインをホールドしてるんじゃないかと思えてならない。

 

ブロックチェーンの仕組み

 

上記は従来の中央集権的な管理システムだ。分かりやすいようにインターネットの仕組みを例にしてみたけど、中央に位置するサーバーを中央銀行、それに連なる個人A~Dを市中銀行に置き換えてみても良いだろう。

 

ここにブロックチェーンを導入することで、完全に中央の管理から独立して通貨の発行・管理を行うことができてしまうのがこの仕組みだ。

 

※ここでは金融・財政制作と国民経済の維持については無視してくれ

 

 

ブロックチェーンでは、サーバーや中央銀行のような第三者機関を置くことなく、各個人をチェーンで結び、ブロックを相互に記録、監視し合うことで存在を維持できてしまうんだ。

 

簡単に言うと、ウソがつけない伝言ゲームと考えると分かりやすいだろうか。中央に管理を任せるのではなく、不特定多数の管理者が相互に管理するシステムによって、虚偽や不正を排除できる仕組みを実現できることになる。

 

もちろん偽装することは絶対に不可能ではないんだけど、実現するためには計算結果の書き変えを行う必要があるんだ。そのためには時間的、金銭的に莫大なコストがかかるので事実上書き変えが不可能と考えられている。

 

もし、不正によってビットコインを得るのであれば51%を書き換える必要がある。これを「51%アタック」というが、いざ実行に移すとなると時間あたり数千万円の電気代が必要になってしまうんだ。別途コンピューターなんかの機材も準備しなければならないし、この段階でいくらかかるか分からない。しかも、これだけのコストをかけても成功する保障はないんだ。ブロックチェーンで不正を行うほど優秀な人間で、わざわざ莫大な資金を投じて書き換えを行うぐらいなら真面目に計算して報酬を得た方が合理的だと気付くはずだ。

 

なお、計算によって得られるインセンティブが俗に言う「マイニング」だ。鉱山にビットコインが埋まっていて掘り起こすという意味ではないことがこれで分かっただろう。

 

仮想通貨とブロックチェーンの台頭で銀行業は消滅するのか?

よく銀行業は生き残りが厳しくなるとか、失業するという心配をする人がいるんだけど、銀行業の「二層構造モデル(中央銀行市中銀行)」の維持を考慮するならば、銀行業を完全に排することは難しいと筆者は考えている。

 

銀行業の終焉については、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の登場によって銀行の二層構造モデルそのものが崩れるのではないかという話も出ているんだけど、仮想通貨とブロックチェーンを根拠とした場合には別な問題になる。結論を言ってしまえば、例えビットコイン等の暗号資産が第二の通貨として普及したとしても、ドル・円などの法定通貨を価値基準としている段階でビットコイン法定通貨に取って代わる可能性はないので、暗号資産の流通が銀行業を脅かすことにはならない。仮想通貨の役割はせいぜい自国通貨の価値が著しく低い、または不安定な国の富裕層が資産を逃がす手段として利用するぐらいのものだろう。ビットコイン等の暗号資産はあくまでも電子上の金、デジタルゴールドだ。ゴールドがあるから貨幣がなくなるわけではないのと同様、ビットコイン法定通貨に取って代わることはあり得ない。

 

ビットコインの利便性と銀行業の代替性

ビットコインはアドレスだけで送ることができるし、ブロックチェーン上に記録されている送金記録は公開されているため、誰であっても確認することができる。また、仲介者として銀行を経由する必要はないので、手数料がかからないのも魅力だ。そういう意味では銀行は使わなくなるだろうし、不要と考えられても仕方がないだろう。また、フィンテックの台頭による銀行業の衰退やAIの進化によって行員の業務が限られてくることはあり得るだろう。その辺はテクノロジー関連の話題なので、通貨としてのビットコインとそれを支える技術を表面的になぞる程度の今回の記事では触れないことにする。

 

ブロックチェーンで実現するトラストレスな社会

我々の社会で中央に管理者を置かなければたちまち秩序は失われて混乱が生じるだろう。人間には理性があるけど、他者の倫理観を無条件で信頼することは難しい。どうしても刑罰を取り入れる必要がある。しかし、ブロックチェーンの世界では不正を働くハードルが極めて高いことは先に説明した通りだ。そして、真面目にシステムの維持に貢献すれば報酬が得られる仕組みを用意している。故に、無駄な悪事に労力を費やすよりも計算に協力してビットコインを手にした方がはるかに安全で効率的と言える。刑罰以外の方法で犯罪を抑制するという画期的なアイディアがブロックチェーンでは取り入れられているんだ。

 

絶対に破ることのできない約束としてのスマートコントラクトもまた、ブロックチェーンに期待されるサービスの一つだ。例えば、ブロックチェーン上に遺言を残すことによって書き換えを防ぐこともできるだろう。これによって100%改ざん不可能な遺言状が実現する。借金の借用書に関しても同様のことが言える。貸主が事前に担保を押さえておけば、万一回収が出来なかった場合にも自動的に債権者に分配することができるなど、応用例は様々だ。このようなトラストレスな仕組みの中であれば、そもそも不正ができないので相手を信頼する必要すらない。相手を疑うことなく取引ができることになる。

 

ブロックチェーンの未来と課題

先ずは未来の話だけど、ブロックチェーンを使った新たな通貨も生まれてくるだろう。フェイスブックが開発したリブラがそれだ。また、デジタル人民元、もブロックチェーンで実現される。日本でもCBDC、中央銀行デジタル通貨の開発は進められている。テクノロジーと通貨の行方は今後も注視して行く必要があるだろう。

 

もちろん、明るい話題ばかりではない。ビットコインという新参通貨とブロックチェーンには様々な課題が残されている。ある側面から見れば、犯罪の減少やトラストレスな社会の実現が期待できるし、実際にそう主張しているテクノロジー系、ビジネス系のインフルエンサーも多数存在している。同時に、先に説明したように銀行不要論も出てきている。筆者もテクノロジーの発展による金融システムの変化は予見しているが、例えどれだけブロックチェーンの仕組みが安全で利便性の高く、そのおかげでビットコインが普及したとしても、仮想通貨が法定通貨に取って代わることはないと断言しておく。一部では「国が税金を回収できなくなって困るから反対するんだろう」と主張する人もいるんだけど、税金の意味については筆者の別記事を参照してもらうとして、そもそも国が介在できない得体の知れない通貨が普及し、それを中心に世界が回るとすれば、どんな世の中になってしまうか想像できるだろうか? 金融、財政政策が出来ない無秩序な世界の出来上がりだ。金本位制の時代のように、国もマネーゲームのプレイヤーとして商人(企業)や個人と資金集めを競争することになるということだ。つまり“お金はみんなが信頼しているから価値があるのだ”という商品貨幣論的な貨幣感に逆戻りすることになるんだ。国が価値を定める国定信用貨幣論とは違い、もはや自然の成り行きに任せる他なくなってしまう。本来税金というシステムは市場に流れすぎた通貨量の調整と法定通貨の価値の裏付け(その国の通貨で納税しなければ逮捕されてしまうという強制力)に利用されているんだけど、商品貨幣論的な通貨である仮想通貨が法定通貨になってしまったら、中世の領主のように財源としての税金を掻き集めることに国は尽力することになるだろう。しかも、採掘可能な量にも限りがあるから、物価上昇に合わせて通貨の流通量を増やすこともできない。要はデジタルゴールド版の金本位制になることによって経済発展を阻害することになってしまうんだ。さらに最悪なシナリオとして、およそ40%ものビットコインを所有する大口保有者たちが一斉に売りさばいたら価格は大暴落するというおぞましい未来だ。このような不安定な通貨を主要な取引に利用することは難しいと言える。あくまでも投機目的や金(ゴールド)と併用してデジタル上にも価値を保管するための手段として捉えておくべきだと筆者は考えている。

 

おまけ ~世界で最初にビットコインでお買い物~

ここまで貨幣論を交えた堅苦しい話が続いたので最後にコーヒーブレイクだ。

みんなは世界ではじめてビットコインで買い物した人が何を買ったか知ってるだろうか。もしかしたら聞いたことがある人がいるかもしれないけど、せっかくなので紹介しておこう。

 

BTC決済を世界で初めて実戦したのはラズロ・ハニエツ(Laszlo Hanyecz)というプログラマーだ。2010年5月22日、ビットコインが誕生して1年あまりが経った頃、彼は1万BTC(ビットコイン1万枚)を使ってピザ2枚を注文することにした。もちろん店が直接ビットコイン決算を受け付けてはくれないので、ネットの掲示板でピザ2枚と1万BTCを交換してくれる人を募集したんだ。今なら喜んで応じるのだろうけど、当時はまだ怪しげな謎通貨という認識が強かったと思う。取り引に応じたのは当時19歳の学生で、彼がピザ店に注文と支払い(2枚で40ドル)をして、その対価として1万ビットコインを受け取ったんだ。

 

この出来事から13年が経過した現在、1万BTCはおよそ334億円に相当する。2年前の4月には一時700億円近くにまで跳ね上がった時期もあったから、そのタイミングで売却したら世界的な富裕層になっていたことだろう。13年前に4000円のピザと交換したコインが数百億円だ。仮想通貨バブルに乗ってひと儲けしようとする人たちが出て来るのも無理はないだろう。

 

しかしこれは結果論だ。未来のことは誰にも分からない。ビットコインの相場が爆上げした現在だから言えることだけど、1万ビットコインがピザ2枚に消えたというのは何とも惜しい話だよね。所得税を50%取られたとしても巨万の富を得られたことは間違いない。もしタイムスリップできたなら、変な試みはしないで1万BTCを死守して10年間待つはずだ。

 

ちなみに、世界初のBTC取引が行われた5月22日は「ビットコインピザデー」と呼ばれており、ピザを食べながら祝われているそうだ。みんなもゲン担ぎにどうだろうか。

 

仮想通貨の運用では腰を据えて寛容に。多少の値動きに一喜一憂せずに保持を貫くべきだと筆者は思った。もちろん、投資は自己責任で判断して欲しい。他人の言葉を鵜呑みにしないで自分でしっかりと調べて、考えて資金運用して欲しい。

 

それでは、また次回の記事で。