ヒカリの学習ノート

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「お金」が好きなら先ずは知ることからはじめよう!経済からお金の雑学、テクノロジーの動向まで、このブログを読めば一気に学ぶことができるよ。

スターリンクが国境なき情報共有を実現する ―グローバル・インターネット時代の到来 ―

starlink_top

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久し振りの記事投稿は最新テクノロジーの話題から始めたいと思う。みんなはスターリンクStarlink)という言葉を聞いたことがあるだろうか。簡単に説明すると世界中どこからでもアクセス可能な「衛星ブロードインターネット」のことで、現在、イーロン・マスク氏が率いるスペースX(SpaceX)社によって開発が進められている低軌道衛星インターネット提供サービスだ。

(ツイート引用)

 

ツイートによればスペースXは2020年末には既にStarlink(同社の衛星)のテストを開始していて2021年初頭には初受注を果たしている。そして昨年2022年末には実利用者が100万人以上に達していることも伝えているんだ。

 

利用料金は月額109ドルと若干高めに感じてしまうかもしれないけど、場所を問わず安定した通信速度を維持できることを思えば妥当な価格と言えるだろう。

(ツイート引用)

 

尚、アジア地域として初めて運用を開始したのが日本なんだけど、月額料金は12,300円と、一般的なプロバイダ料金と比べると2倍以上もかかる。さらに専用アンテナ代73,000円も初期費用として必要なので、安定した通信速度が常時維持されている環境にいる多くの日本人としてはなかなか手を出し難いというのが現実だろうか。

 

とはいえ、まだ始まって間もないサービスなので、初回契約キャンペーンも実施されている。現在、期間限定で設備費用73,000円のところを半額以下の36,500円で提供されている。今後もユーザー獲得のためにキャンペーンが実施されることが予想できるので、機会があれば契約してみるのもありかもしれない。

 

恐らく山間部でも高速インターネットを欲する人が想定されるユーザーとなるだろう。スターリンクの現時点での推定される利益は2年間で13億ドルなので、世界中に普及すれば更なる収益が見込めることになる。当然、研究開発も進み、利用料金も見直されるかも知れない。

Starlink map

Starlink map

Starlink公式HPから引用)

 

サービス開始当初、日本国内の対象エリアは東京以北から北海道南部だけだったのだが、今では沖縄を除く全国各地にまで対象地域が拡大されている。本年度(2023年)中には沖縄も利用可能エリアに組み込まれる予定なので国内のユーザー数は益々増えていくことだろう。通信設備はビジネスを加速させる要素の一つとされているので、スターリンクの普及が消費者ニーズを満たす新たなサービスを生み出す可能性も期待できる。

 

今日は、そんな“世界をつなぐ革新的な衛星インターネットシステム”について紹介しようと思うのだけど、この記事では主に“国境なきインターネットで未来がどう変わっていくのか?”ということと“従来のインターネットと何が違うのか?”について重点的に説明して行きたいと思う。

 

 

 

スターリンクに期待できること

スターリンクStarlink)は冒頭でも紹介した通りSpaceX社が開発を進めている衛星インターネットシステムで、2015年にイーロン・マスク氏が設立し、当初の予定通り2021年に本格運用を開始している。このシステムは数千機の低地球軌道(LEO)衛星のネットワークで構成されている。衛星間レーザー通信技術を採用することによって、地上のユーザーに高速かつ低遅延のインターネット接続を提供できるようになるというものだ。

 

これだけ聞くと「なんだ、ただのネット速度改善の話か」と思うかも知れないが、筆者が最も注目しているポイントは、タイトルにもある通り“国境なき情報共有”が実現することだ。つまり、発展途上国のようなネットへのアクセスの難しい場所の人たちや国の方針で情報が遮断されている人々にも我々と同様にネットを使い、互いの意見を交換したり情報を得ることができたりするということだ。

 

スターリンクを通すことで国家による介入や規制が行えなくなるため、例えばグーグルの利用が制限されている国の人々でも様々なWebサービスの恩恵を受けることができようになるだろう。いつの時代も情報は命だ。世界情勢をいち早く知って自分の置かれた立場や国の状況を把握し、客観的に分析できるようになることは大きい。ここまで聞けばスターリンクが如何に画期的な発明であるかが分かるだろう。

 

現在でも通信キャリアによっては繋がり難いことがあるはずだ。外出先でWi-Fiスポットを探したり、通信制限を気にして思うように使えないことだってあるだろう。セキュリティーの問題だってある。それらの不自由と不安が解消されて、いつでもどこでも繋がれる、まさにインターネットの当たり前を享受できるシステムと言えるんだ。開始わずか2年で140億ドルのサブスク収入を実現しているのにも頷けるというものだろう。

 

スターリンクがテクノロジーの発展に貢献する

先にも述べた通りスターリンクはグローバルなインターネット接続に革命をもたらす可能性を秘めている。技術的には地球の低軌道を周回する衛星が高速で移動することができるため、通信速度の向上と通信範囲の拡大を可能にしていることが上げられるが、ユーザー目線で恩恵のみに焦点を当てるのであれば、その一つはネットにアクセスするために不可欠である高価な通信インフラ(大規模な工事をしなければいけない)が不要になる点が大きいだろう。それによってこれまでは高速インターネットへの接続が困難であった発展途上国でも利用者数が増加すれば驚異的な速度で情報が広まり、知識の過疎化している途上国での教育や技術革新にも貢献し、高度な意見交換が行えるようになるはずだ。近年、進化の目覚ましい機械(AI)翻訳の利用と組み合わせれば、場所と言語の壁さえも容易に越えられるようになるだろう。さらに、遅延が少ないため僻地での遠隔医療や教育などに利用されるだろうし、日本企業の世界市場へのアクセスを向上させるための最適な候補ともなり得るだろう。

 

当然、先進国においても変化が期待できる。例えば日本のように地震などの自然災害が多い国の場合には、震災発生時にも途絶えることなくインターネットに接続することが可能となるため、安否確認や政府からの最新情報を常時受け取ることもできるようになる。もちろん、戦争時にも同様のことが言える。実際、イーロン・マスク氏がウクライナスターリンクを利用するためのアンテナを提供しているのだ。状況が見えないことが人々の不安と混乱を招くが、常に最新の情報を入手して現状を把握できるインターネットに接続できるのであれば安心にも繋がるだろう。

 

 

スターリンクはただの情報通信システムではない

現在、衛生通信システムの活用で期待されている変化は他にもある。一つは、世界規模で懸念されている食糧問題の改善だ。そこで、どのようにインターネットを活用するのかと言えば、例えば農業においてはスマートフォンタブレットなどを使って田畑の状態をリモートでモニタリングすることが出来るだろう。これによって、作物の生産性向上や農薬の使用量の削減などが期待できる。農業でのIT活用は少しずつ取り入れられているので、そのままスターリンクへと繋げて行き、バッタの大量発生など、農作物に影響する存在を早期に発見し、対策することも可能になるかもしれない。

 

また、船舶や飛行機、自動運転車などの移動体においても高速インターネット接続を利用することができるため、航空や海運などのビジネスにおいても大きな影響を与えることが期待されている。リアルタイムで変化し、遅延が許されない陸と空の状況を瞬時に把握することができるのであれば、自動運転システムの導入を早めることも期待できる。もちろん現段階ではスターリンクのサービス提供地域は限られているけど、将来的には世界中に利用地域が拡大し、インターネット接続の不足を解消し、ここで紹介した以外の新しいビジネスモデルやサービスの創出を促進することに繋がって行くだろう。

 

 

グローバルインターネットアクセスのメリット

我々は分からないことがあれば手元のデバイスでネットにアクセスしてすぐに情報を取り出すことができるが、冒頭から述べている通り国によってはアクセス権が遮断されている場所も多く存在する。例えばトルコでは一時期Wikipediaが利用できないという極めて不便な状況に人々は置かれていた。必要な情報が簡潔にまとめられた世界共通の百科事典を閲覧できないなんて大きな機会損失に繋がり兼ねない。知識の共有と自由な意見交換ができないことはグローバル時代に取り残されるだけではなく、置かれた状況の適切な分析や政治への見解など、思想面での退化をも招く恐れがあるからだ。そうした現状を打破すべく登場したシステムがこのスターリンクだ。グローバル・インターネット・アクセスが普及すれば、世界的な経済競争力を高め、市場へのアクセスを提供することで各人の所得を増加させることもできるだろう。最終的には自由なインターネットの普及により文化的・地理的な障壁を取り払い、人々が互いにつながり、協力し、コミュニケーションすることを容易にする。そしてその先にある未来は、より高度な技術と知識の共有に満ちた豊かな世界となるだろう。

 

 

スペースX社によるグローバル・インターネット・アクセスの促進

さて、ここまで期待が寄せられているスターリンクではあるのだけど、その普及に向けてどのような試みを行っているのだろう。先にも挙げた通り低コストで低遅延なアクセスの実現のために、事業利益の早期改善に向けて努めていることが分かる。開発費用の捻出は順調であるため、イーロン・マスク氏が志している宇宙空間での快適なインターネットアクセスも実現できるだろう、見通しは明るいと言える。現在、ネット利用者数は世界人口の約半数以上である60%程度と言われているが、アメリカの70%に対してアジアが55%、アフリカは僅か39%程度に留まっている。全人類インターネットアクセス時代には達していないことが窺える。情報格差の無い未来のためにも、先ずは人工衛星の打ち上げ基数を増やし、利用者数拡大による収益増加とそれに伴う途上国での料金の値下げが課題となるだろう。かつて脳科学者の苫米地英人氏が予想した通り人工衛星利権が幅を利かせる時代が到来するかもしれない。

 

 

VPNにも限界がある

現状でもVPN (Virtual Private Network) を使えば国や地域を問わずインターネットにアクセスして情報を取得できるのではないかと思われているが、厳しい情報統制を図っているような国で万一VPNでのアクセスが発覚してしまった場合のリスクを考えると多用できるものではないだろう。もちろんスターリンクを利用する上でも気を付けなければいけない。例えば銀行振込やクレジットカードを使って利用料を決済すれば痕跡が残ってしまうため避けなければならない。恐らくマスク氏であればそういった国にいる利用者を考慮して決済手段に暗号通貨やクリプトを導入するなどの対策を取るのではないかと思う。政府が介在できない手段で独自に契約を結ぶのであれば足跡を付けにくくなるからだ。もちろん、企業としてのスターリンクは本社のある米国に税金を米ドルで納めることにはなるので、暗号通貨やクリプトでの決済が普及したからと言って法定通貨から解放されるということまでは意味しないことを念のために記しておく。よく『ビットコインなどの暗号通貨を人々が利用するようになれば国の監視から逃れられる』や『法定通貨の必要性はなくなるんだ』と主張する人がたまにいるんだけど、そもそも税金はその国の法定通貨で納めなければならないのだから、取引きで仮想通貨を使っていても法定通貨は必ず必要になるし、換金する度に利益率分の税金が発生することになる。これは過去に述べたことがあるかもしれないが、その国の法定通貨の強制通用力を担保することが税金の目的なのだから当たり前だ。ビットコインだろうがイーサリアムだろうがその価値の裏付けには必ず法定通貨があるのだから(例:1ETH≒182円等)、仮想通貨(暗号資産)はあくまでも法定通貨によって保障された価値であること、納税義務がある限り独自通貨で勝手に取り引きしても最終的には法定通貨に換金してから納税することになることを忘れてはならない。

 

スターリンクは開始から間もないサービスなので、これからユーザーの応用次第で活用方法が広がって行くだろうし、今の時点では予想もしないような進化を遂げる可能性も秘めている。今日の話は参考程度に留めておいて、引き続き更なる発展に期待して行こう。

 

それではまた、次回の記事で。