ヒカリの学習ノート

ヒカリの学習ノート

「お金」が好きなら先ずは知ることからはじめよう!経済からお金の雑学、テクノロジーの動向まで、このブログを読めば一気に学ぶことができるよ。

令和のゴールドラッシュは狙えるか? 古いスマホの価値から考える都市鉱山に眠るチャンス

久し振りの更新なのでお金とテクノロジーをメインテーマとして扱うこのブログらしい題材を記事にしたいと思う。
タイトルにもある通り、今回扱う話は都市鉱山に見る令和のゴールドラッシュだ。

 

 

ゴールドラッシュと聞いてわたしたちが最初にイメージするのは現在のカリフォルニア州で発生し、後にアメリカ中に広まったブームのことだろう。
ジェームズ・マーシャルという一人の大工がカリフォルニア州で砂金を発見したことに始まったゴールドラッシュは米国中を巻き込み、男女、大人と子供を問わずに多くの人々が一攫千金を夢見てカリフォルニアに集結した。
結果は知っての通りで、巨万の富を築き上げた人は僅か数パーセントであり、95〜99%の採掘ワーカーは初期投資額さえも回収できないという悲惨な結果となり、夢を掴むどころか困窮に陥る結果となった悲劇的なブームでもあるんだ。
もちろん、経済という側面から見るならば、商品開発や物流などの発展に貢献してくれた一大イベントであったことは間違いない。

 

 

事実、現代ではステータスカードの代名詞として知られているアメリカン・エキスプレス(American Express)が生まれたのもこのときだったんだ。
アメックスの共同創業者、ヘンリー・ウェルズとウィリアム G・ファーゴ、ジョン・バターフィールドの3人による「人が動けば物も動く」という気付きから全ては始まった。
顧客が安心できる補償のもとに荷物を運搬するサービスを開始して、後にクレジットカード会社になってからも変わらず顧客を優先する手厚い補償を提供していることでも有名だ。
そして、これも多くの人が知っている通り、ゴールドラッシュで儲かったのは金を掘りに来た需要者(プレイヤー)ではなく、宿や移動手段、必要物資を提供した供給者(サプライヤー)であることは言うまでもない。
”つるはしビジネス”成功者の一人を上げるならば、有名どころではリーバイスを創業したリーバイ・ストラウスだろう。
彼は人々が採掘に夢中になる中で作業者の動きに注目した。
屈む、立つの繰り返しの動作でズボンがすぐに擦り切れるところを見て、もっと丈夫なズボンは作れないだろうかと直接作業者の意見を聞きながら試行錯誤を繰り返した。
結果として、船の帆としても使われていたキャンパス生地を利用した作業用ズボン、ワークパンツの制作に成功した。
これが世に語り継がれるリーバイス501である。
破れにくいジーンズがカリフォルニアまでの長旅でも重宝されたことは言うまでもないだろう。

 

 

この、いわゆる”つるはしビジネス”に気付いた人たちは、現在でも莫大な利益を上げている。
例えばYouTubeなどの動画サイトを使った配信ブームで儲かったのは、有名インフルエンサーやタレントなどの一部の例外を除けば動画配信者(プレイヤー)ではなく撮影機材を販売しているメーカーや小売業者(サプライヤー)であることは容易に想像がつくだろう。
副業ブームの波に乗った動画編集ビジネスでも同様と言える。
動画編集ブームで本当に儲かっているのはスクールの運営者や商材を販売している発信者や編集ソフトを提供しているメーカーの方だ。
如何に技術が進歩しようとも、経済というものは時代と環境を問わず同じ流れを辿るのだということが分かる事例だね。

 

 

さて、前置きが長くなってしまったが、話を本題に戻そう。

カリフォルニア・ゴールドラッシュが発生した170年前とは違って、今は都市鉱山という身近なチャンスが存在する。
メディアでも度々話題になっているし、実際、古いパソコンやスマホ、ガラケーを熱心に回収している業者もあるではないか。
ならば、家に眠っている古いスマホを掻き集めれば一攫千金とは言わないまでも、それなりのお小遣いになるのではないか!?

 

そんな夢を見た人のためにこの記事を書くことにしたんだ。

 

尚、現在価値があると言われている物質には、富裕層が資産の一部として保有する金や銀などの貴金属の他にはレアメタルと呼ばれる抽出が困難、あるいは算出量の少ないレアな金属(ニッケル、コバルト、チタンなど34鉱種)が存在する。
一方、鉄や銅、アルミニウムなどの抽出、算出量ともに安定した金属のことはベースメタルと呼んでいる。

 

 

わたしたちが都市鉱山で狙うのはこのレアメタル・・・ではなく、現在高値を更新中の金、ゴールドだ。
昔から身近な価値として憧れの対象ではあったけど、一般人が延べ棒を手にすることはなかなかに難しい。
何故なら、グラム単位での価格が非常に高価だからだ。

ちなみに、令和5年9月4日時点での国内金相場は1gあたり9,966円であった。
金の価値が上がり続けている現在、1万円前後で安定するだろうと予想されているので、ここでは1gあたり1万円として計算していくことにしよう。

 

それでは早速、わたしたちに出来る都市鉱山採掘と金の入手方法を見て行こう。

これはそう難しい話ではない。
都内在住の読者であれば、秋葉原辺りにでも出かけてジャンク屋を覗いてみれば良いだろう。
きっと二昔前のガラケーや懐かしのスマホが投げ売りされているはずだ。
店頭のカゴに山積みされているテクノロジーの亡骸を適当に買いあさることで金を含んだ物体を手にすることができる。

 

ここで購入するのは画面が割れたり動作しなくなったスマホでも構わない。
保障対象外のとにかく安いものを適当に入手してみると良いだろう。

 

ここで、手元にあるスマホはどうやって分解すれば良いのだろうという話になる。
昔の玩具のようにドライバーでネジを回して簡単に分解できる代物ではないので、修理や製造の経験すらない素人には抉じ開けることすら困難だ。
修理受付デスクを設けている大手キャリアであればスマホを開けられる人がいるはずだけど、まさかジャンク品を持ち込んで分解を頼むわけにはいかない。

 

頼れる専門家のひとつとして紹介したいのが、筆者もMVNOのサービスを調べているときに知ったアイサポだ。
格安simのサービスでも有名で、iPhoneの修理も手掛けているお店でもある。
修理ができるということは、当然データの破棄を目的とした分解、破壊もしてもらえるということだ。
事実アイサポではZAURUSというスマホシュレッダーを店頭に設置している。
iPhoneの使用、維持からお別れまで一通りのサポートが受けられるお店でもあるんだ。

 

このスマホシュレッダーに投げ込めば粉砕できるわけだけど、中には電池(リチウムイオンバッテリー)が入っているのでそれを取り出さないといけない。
素人にはできない液晶パネルの取り外しをしてもらうことになるので、相応の手数料がかかることを事前に理解しておこう。

 

爆発の危険があるバッテリーを取り外したあとはいよいよシュレッダーにかけて粉砕、粉々になったスマホから一攫千金の素になる金を取り出すわけなんだけど、さて、果たして古いiPhone1台から採れる金の量はどれくらいなのだろうか...?

 

結論は、0.02g程度だそうだ。

これはどのスマホでも変わらない量だろう。吹けば飛ぶ程度の微々たるものだ。

 

最初に話題にした金相場を基準に考えよう。

仮に最高値の1gあたり1万円であったとして、スマホ1台から採れる0.02gの金の価値は200円となる。

例えジャンクで購入してもiPhoneは1000円前後はするだろうし、分解、破砕する手数料もかかる。

精錬して金の延べ棒を作ろうとしたらどれだけのスマホが必要なのだろうね。
気の遠くなるような話だし、手間と費用を考えれば普通に貴金属店で購入した方が早そうだ。

参考までに、精錬作業の依頼には最低でも300kgの金が必要とされている。
だから、本気でチャレンジするなら1500万台のスマホを用意しなければいけないわけだね。

 

たぶんこれはユーチューブの企画にできるよ。
ヒカルみたいに潤沢な資金のある人であればスマホの入手経路まで確保して本気で延べ棒が作れそうだけど、仮にジャンクiPhoneが1台1,000円だとすると、実に150億円もの費用がかかる計算になるので現実的ではないだろう。
ほぼ無料でジャンクスマホを掻き集める方法をとるしかない。
インフルエンサーであれば視聴者から募れば可能だろうか。
いつかやってみて欲しい。

 

付け加えると、今回記事で書いた0.02gはあくまでも金の採取量であって、スマホを構成する原料には銀の他にもレアメタルとして指定されているプラチナやパラジウム、リチウムイオンバッテリーにはコバルトとニッケルが含まれているんだ。
地球上での採掘に限りがある貴重な素材を詰め込んだ物質の宝庫といえるだろう。

 

それらの素材を掻き集めてもせいぜいスマホ1台では120円程度なので、金と合わせても320円程度だ。
1,000円手にするには最低でも3台は欲しいところだ。
当然、そのジャンクスマホを購入する費用と粉砕手数料を考えると大赤字であることは言うまでもない。

個人が都市鉱山で儲けることが不可能であることがこの事実から読み取れるはずだ。

 

PCリサイクル業者が送料無料で大量のパソコンや周辺機器を掻き集めている理由も頷ける。
ひと儲けしようと思えば会社の力で膨大な数を集めなければならない。
さらに国からの援助を受けて業者がようやく利益を得られるというわけだ。

 

カリフォルニア・ゴールドラッシュで本当に儲かったのが”つるはしビジネス”であることは冒頭で説明した通りだけど、現代の都市鉱山ゴールドラッシュでもまた、本当に儲かるのはジャンク屋や関連業種になるような気がするね。

 

今回はお金と副業、そしてテクノロジーというか身近な材料科学のような話題になったけど、普段手にしているスマホを形作っている物質の希少性や価値が学べる話になったのではないだろうか。ちょっとした雑学程度になれたなら嬉しい。

 

それではまた、次回の記事で。