ヒカリの学習ノート

「お金」が好きなら先ずは知ることからはじめよう!経済からお金の雑学、テクノロジーの動向まで、このブログを読めば一気に学ぶことができるよ。

新しい通貨の普及と課題 デジタル通貨時代に先駆けて

f:id:aoyamahikari:20210412144103j:plain

今日は「お金の雑学」として未来の通貨について話して行く。最近はテレビを見ていても新型コロナウイルス関連のニュースが多いから、どうしても他の問題に関心が向き難くなっているんだけど、その最中にあっても政府はデジタル通貨の研究を着々と進めているんだ。理由は中国のデジタル人民元の実現が迫っているからなんだけど、そこには基軸通貨の交代など様々な要因がある。2024年には新紙幣に切り替わるのに何故今になってと思うかも知れないけど、私たちの価値観がどうであれ、時代は移り変わり、金融システムも転換期を迎えて行く。新時代の通貨を受け入れるかどうかを議論する前に、先ずは従来の通貨と向き合いながら、改善点を模索して行こう。ここではみんなも既に利用している電子マネーの話も取り入れながら、まったくより良い通貨について考えていきたい。

 

 

長引くデフレを解決したい 通貨流通量を促進する方法はあるのか?

 

 不安に比例して蓄積される個人貯蓄

わが国では昔から質素倹約は美徳とされてきたが、これは個人レベルでの話だ。経済全体で見れば、むしろ悪行に近い行為と言える。デフレの最中に金融緩和でマネ―ストックを増やしたところで、個人も企業も積極的に融資を受けようとする人は少ないだろう。景気の後退から事業を縮小する企業も増え、雇用も安定しない。こうなってくると、将来への不安から更に貯蓄が増えて行く。日本におけるタンス預金額は国民全体で50兆円とも言われていたが、今年になって100兆円に登るとも試算されている。一説にはコロナ禍で消費が落ち込んだことが原因とされているが、いずれにせよ需要を生み出して供給を引き出してやらなければならない。これに関しては、過去の記事でMMTを解説しているのでそちらに譲るとして、公共投資の不足以外に景気回復を阻害している問題について考えてみると、資金の滞留が少なからず悪影響をもたらしていると言えるだろう。もちろん、失業して明日を生きるお金もない人もいるけど、疑心暗鬼から消費を抑え込み、ひたすら使わずに貯め込む傾向にあることは、昨年度(2020年)に日銀が発表した資金循環統計(7~9月期)の結果からも明らかだ。それによると、9月末時点で個人(家計)が保有する現金・預金額が1034兆円とされている。2019年と比べて4・9%も増加しているんだ。

 

 現金主義は悪なのか? デジタル通貨の普及で変わる世界

経済産業省が電子決済(電子マネー)の普及を促進してきた理由には消費を促す狙いがあるとされている。便利で決済が効率的だからとか、現金よりも衛生的(スマホも汚いとか言わないでくれよ?そこは各自で除菌するなりしてくれ)だとかの理由もあるんだけど、もちろんそれだけではないよ。そうまでして電子マネーを使ってもらいたいのは、お金を使うことに対する心理的ハードルを下げるためでもあるんだ。現金を使うとき、人は精神的苦痛を味わうのだという。「お金持ちになりたければ長財布を使え」とか「お金を大切にしなさい。ピン札を持つと良い」とか言われるのは風水的な理由というよりはお金を使うことへの心理的なハードルを上げるためでもある。長財布だと紙幣が曲がらないし、そこにピン札を入れれば綺麗なままだ。そうすると、尚更使いたくなくなってしまう。と、これはあくまでも節約、貯金分野での話で、マクロな視点で見ればできるだけ貯め込まないで使って供給を促進して欲しいんだよ。例えば、タフツ大学でデジタル通貨を研究しているバスカー・チャクラボルティ教授なんて「現金は経済にとって害だ」とまで言ってしまっている。どういうことだよって思った人はじっくり考えてみて欲しいんだけど、現金主義は消費を抑制する以外にも賄賂やヤミ金業の存在できる環境を作ってしまった元凶だと言える。賄賂なんて、電子マネーで授受していたらすぐに見つかってしまうよね。闇金に関しては未だに借主が悪と誤解している浅はかな人がいるんだけど、ヤミ金業者が何をしているのか考えたことはあるだろうか?出資法に抵触する莫大な利息を取り、金融庁に営業許可も取っていないから当然税金も納めていない、挙句反社会組織の活動資金として流れている。明確な法律違反を「借りたものは返せ」という道徳心で庇っている愚か者の多さには驚愕するが、それは個人の勉強不足の問題だからこの際どうでも良い。現金の便利さ、手軽さの裏にはそうした反社会的組織に利用機会を与えているのだという副作用があることを知っておこう。

 

ハーバード大学の経済学者、ケネス・ロゴフ教授によると、現金の多くが地下経済に流れているのだという。日本のヤミ金と同様に、税金を支払われることもなく、ひたすら地下組織の活動資金になっていたり、汚職に使われているんだ。その総額は、アメリカでは1兆4300万ドルだから、米国のGDP(約21兆ドル)の7%もあることになる。

こうした通貨の悪用を防ぎつつ、自然にお金を使ってもらえるようにするための方法として、先に話した電子マネーは有効となる。支出の心理的ハードルを下げ、尚且つ悪用され難いという観点からも広く勧められる決済手段だと言える。そこには当然、ハッキングによる強奪や不正の恐れがないとは言えない。新しい法定通貨の形であるデジタル通貨の利点が銀行強盗被害を減らせるというが、昭和の時代じゃあるまいし、今時銀行には多額の現金を置いていることなんてまずないよ。消費を促す以外の利点としては効率と衛生面、そして年間2兆円もかかっている現金輸送費用の軽減だろうか。現在、政府通貨のデジタル化も検討されているけど、災害国では現金を完全に廃止することは難しいかも知れない。そうなると、現金と電子マネーの比率は7:3ぐらいが妥当だろうか。いずれにしても共存の形を取ることになるのだろう。

 

国家から独立した貨幣「仮想通貨(暗号資産)」の有効性

 

ビットコインのような仮想通貨の場合には中央銀行のような管理者が存在しないため、金融政策による影響を受けることがない。また、為替や貿易摩擦に左右されることもない。発行量はプログラムによって決められているため、増やすことができない。取引記録は全使用者が共有していて、複数のパソコンで記録が取られているから不正があってもすぐに発覚する。技術的な課題は残されているものの、テクノロジーに信用を支えられた暗号通貨は新たなお金の形として期待できるものだと考えられている。しかし、よく考えてみて欲しい。現状、注目されているのは技術的な課題ばかりで、政府が行う政策をどうしていくかについては議論されていない。中央銀行の政策や為替や貿易摩擦に影響されずに独立した通貨を国民が保有したとして、経済政策はどのようにしていけば良いのだろうか。我が国のような災害国では、当然、公共政策は不可欠だ。コロナ禍で痛感した人も多いだろうが、助成金や給付金などの福祉政策も必要となる。政府が一切介入することがない仮想通貨を中心に経済がまわるようになった際の徴税方法の検討や相場変動への対策も必要だ。過去に何度も話しているけど、税金には通貨の信用を支える意義もあるんだ。要するに、日本円がないと税金を納められないから、仕方なくみんなが日本円を使っている。米ドルで買い物できるお店なんて無いだろう?これについては他国における税の役割にも同じことがいえる。一つの通貨の形として暗号通貨は存在できたとしても、主要な通貨になることは政策の観点から見て難しいだろう。しかし、ビットコインの要である取引データ技術であるブロックチェーンはデジタル通貨の開発に応用可能だ。仮想通貨の存在は、新たな法定通貨の誕生に寄与したんだ。

 

有効期限内に消滅するお金「スタンプ通貨」で消費を促す

 

これは「錆びるお金」とも言われていて、要するに、期限内に使わないと無効になってしまう通貨だ。私製通貨であるポイントに近いだろう。お店でもらえるポイントには長短問わず有効期限があるからね。とはいえ、多くのポイントは最後の買い物(新規ポイント追加)時点で有効期限が延長される。これを繰り返せるからポイ活が成り立つんだけど、期限の延長がなく、一律定められた期限内で使い切らせるアイディアがスタンプ通貨なわけだ。筆者も某家電店で頑張って貯めた結構な金額のポイントがチャラになったことがあるんだけど、それとまったく同じ悲劇が現金でも起こり得るということだ。堪ったもんじゃないね。とにかく消費を促したい、タンスに貯め込んでいる高齢者にも利用機会を与えようという意味では斬新なアイディアなんだけど、これを普及されると国民は将来のための貯蓄がまったくできないことになるよね?ただでさえ老後2千万円問題で騒いでいるというのに、期限付き通貨なんて普及させられるのだろうか。そして、資本主義のステータスである金融資産○円以上の富裕層のような称号も無くなることになる。資本主義の終焉が課題であればこれ以上のアイディアは存在しないのだろうけど、国民の将来への不安は続くことになる。しかし、毎月確実に飢えない程度の所得が約束されるのであればスタンプ通貨も悪くないだろう。そういう意味では、ベーシックインカムをスタンプ通貨で配布するという方法は使えるかも知れない。平成11年の小渕政権下で実施された地域振興券の配布がこれに近い形だろうか。ベーシックインカムとの違いは、全国民ではなく経済的弱者に限定されるが、困窮者の消費を促すには悪くない方策だったと筆者は考えている。しかしながら1度切りの配布では持続的な効果は得られないだろう。半年から1年間継続して特定層に配布するという試みがあっても良いかも知れない。ベーシックインカムの検証でクーポン通貨を配るアイディアは是非とも実現してもらいたい。

 

以上が現在知られている未来の通貨の形だが、どの形式を取るにせよ現状の通貨と併用されることになるだろう。それでも、数億、数千万円という資金をタンス預金することで「お金の血栓」を作り経済を停滞させている一部の富裕層の存在を思えば、相応の比率で消費を前提とした期限付き通貨やデジタル通貨に段階的に切り替えて行くことは有効だろう。電子通貨で心理的ハードルを下げるだけでも十分効果はある筈だ。

 

今日は新しい通貨の形について説明してきた。実用化が急がれているデジタル通貨についてはまた別の機会に話したいと思う。

 

それでは、また次の記事で。