ヒカリの学習ノート

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EU(欧州連合)と共通通貨ユーロの目的 前編

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ヒカリの学習ノートを読んでくれてありがとう。

今日はEU(欧州連合)とは何なのか?について説明していくよ。

みんなも知っての通り、英国は今年(2020年)1月31日、午後11時(現地時間)にEUを離脱したよね。これにより47年間に及ぶ欧州共同体メンバーとしての役割を終えることとなる。2016年の国民投票で勝利した離脱派の悲願が遂に成就したんだね。

とはいえ、今年末までの移行期間中は、引き続きEUの法律に従って貿易を進めて行くことになる。

同時に、英国は多くの課題を抱えることになるだろう。離脱後もEU側との関係は将来に渡って続くわけだ。これまではEUという単一経済圏で自由に人と物を行き来させてきた英国は、離脱によって関税面での障壁にぶつかることとなる。そうしたデメリットを度外視してでも毅然として難民受入拒否の方向で突き進む(ハード・ブレグジット)のか、或いは貿易優先で妥当な着地点を模索していくのか、難しい舵取りを迫られることになるだろう。

ところで、一部の英国民はEU離脱に歓喜しているけど、そもそもEUって何なんだ? 加盟していると不利になるのか? そんな疑問を持つ人もいると思う。みんなはどう考えているのだろう。

異なる歴史や思想、宗教を持つ国々が陸続きに連なるヨーロッパでは、価値観の対立故に過去に大きな戦争(第一次世界大戦等)の舞台となったことは知っての通りだ。そうした反省も踏まえた上で、ヨーロッパ諸国を一つの国のように結束させ、二度と過ちを起こさないようにしよう、そんな願いを込めて作られたものがEUであると言われているんだ。

各国の協力のもと、第二次世界大戦を終えた1951年に設立されたECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)がEU発祥の起源とされている。当初こそ参加国も少なかったんだけど、今では28か国(英国を含む)にまで協力国を増やしているんだ。

さて、これでヨーロッパ各国の協力は得られた。ここからは一歩前進して世界経済の中で存在価値を高めてより豊かな共同体を作っていきたいところだ。

EUは一つの大きな国のようなものとは言っても、通貨が異なるのでは人と物が行き来する際の足枷となってしまう。基軸通貨であるドルに立ち向かうためには、先ずは欧州諸国の経済的国境を取り払い、財やサービスの自由な移動を実現する必要があると考えたわけだね。

そのような実情を踏まえ、1999年、遂にユーロを共通通貨とする制度が誕生したんだ。3年後の2002年1月1日からいよいよ使用が開始され、世界経済の中での存在感を高めて行った。通貨の統一によって加盟国間の取引を活性化させた効果は大きかったと言えるね。特に歳入の少ない小国にとってはEUの財政規律を維持するために歳入が豊富な国から資産が流れてくるのだから、都合の良い制度なんだ。

ここまでEUとは何なのか、共通通貨は何のためにあるのかについて大まかな説明をしてきたんだけど、たぶん聞き流した限りでは優れた制度のように思てくるだろう。確かに、異なる価値観を持ち、長きに渡って対立してきた欧州諸国が団結して一つの経済圏を作り上げた過程は見事と言える。しかし、共通通貨のユーロを導入し、ユーロ圏を形成することによるデメリットも存在するんだ。

複数国家がひとつの国のようになり、共通通貨で統一したらどうなるだろう。ユーロ圏のルールの下での金融政策を強いられるということは、当然、国ごとの金融政策が難しくなってしまうということでもあるんだ。ある加盟国は景気が悪くても、別の加盟国は順調かも知れない。足並みを揃えるのは至難と言える。そんな理由もあってか、EU加盟国28か国全てがユーロを導入しているわけではないんだ。実際、英国はEUに加盟しながらも自国の通貨を維持してきた。だから金融政策で大きく足を引っ張られることはなかったはずだ。少なくとも、ユーロを導入していない加盟国9か国に至っては、ユーロ圏が発案された際の思惑に足をすくわれることはなかったはずだ。

では、ユーロ圏が発案された思惑とは何なのだろうか。それについてはまた次回説明して行きたいと思う。今回はEU(欧州連合)とは何かについて簡単にまとめてみたよ。

それではまた次回。